Patti Smith のライブに出掛けた。以前彼女のステージを見たのは、確か2002年頃の、FUJI ROCK FESTIVALのグリーンステージだった。歌や演奏そのもの以上に鬼気としたその気迫を感じていた。愚直な言い方だけど「闘い続けている人」という印象。その熱は山間の青空の下では放射されていった。しかし、昨夜のライブでは全く違う印象を持った。とにかく、1曲目『April Fool』のオルガンの音色がなりだし、ステージに飛び出して来た彼女はとっても「チャーミング」だった。リズムに合わせて軽やかなステップを踏みながら舞うように唄うその姿にときめいた。「Come, You're the only one」。どうしたら、人はここまでチャーミングな存在になれるものなんだろうか。演奏の話。『Fiji-san』では、日本人和太鼓奏者をステージに招き入れた。カバー曲は、日本のパンクロックバンド、シーナ&ロケッツ。エイミー・ワインハウスに捧げる『This Is the girl』。フレッド・スミスの思い出、美しいアコースティックギターの響き『Beneath The Southern Cross』。会場には福島の小学校への義援金を募る募金箱が置かれ、彼女が撮影したポラロイド写真が添えられていた。どんなことがあっても、絶対に忘れたりはしない。どんなことがあっても、全てをうけとめよう。圧倒的な母性。母の歌声は強く、優しく、大きい。激しくても優しい。優しくても激しい。振幅の大きさ。もちろん、音のヴォリュームの話ではない。そしてその声は、距離を無効化してしまう。2階席の奥までもその声はちゃんと届いていくる。こんなにも近くに聞こえる。とても不思議だった。彼女の声を聞きながらずっとそんなことを感じていた。その声は自然と僕にとって大切な女性のイメージを喚起させる。目の前のイメージと頭の中のイメージが重なってくる。後で一緒に観ていた先輩にそのことを話すと、彼も同じことを考えていたそうだ。耳に残るは君の声。君のイメージ。
そういえば、Joe Strummerの声は、まるで男の子の赤ん坊が泣いているような声だなと思った。
(Shibuya, Tokyo., 2013.01.23.)

(new Year's eve, in my room., 2012.12.31.)
(new year's day, the sky., 2013.01.01.)
Wish our peaceful year.
Kaz
