年明け、1月28日から大阪のPictGalleryにて写真展を行います。詳しくは、newsをご覧ください。新作です。この数年の作品から30点ほどのセレクトになると思います。(という今も、構成を考えています。そんなわけで2007年がもうすぐ終わりそうです)
ぜひお近くの方は観に来て下さい。宜しくお願いします。
PS
先日展示の相談にRoonee247Photographyに行ったところ、ディレクターの篠原さんから「PictGalleryが入っている西天満の大江ビルは大阪の老舗の番画廊をはじめ幾つもアートギャラリーが入っていて、いわばギャラリーコンプレックスとしてとても伝統のある場所なんですよ。昔、写真ギャラリーが大阪には殆どなくって、写真を展示させてくださいといって大江ビルに入っているアートギャラリーに頼みに行ったりしていたんですよ。」というお話をお伺いしました。なかなか刺激されます。PictGalleryそのものは実は昨年秋に開廊したばかりのとても新しいギャラリーです。ギャラリーオーナーのSさんから2ヶ月程前に写真展の依頼を頂き、今回の写真展の実施となったわけです。好きな町での写真展なので、僕も楽しみにしています。ぜひ皆さんお越し下さい。
2007.12.17 (Mon) 二人展
東京都写真美術館で、東松照明『TOKYO曼荼羅』、土田ヒロミ『ニッポン』の二本立て。大先輩の写真家2人の何十年にも渡る軌跡(クロニクル)。それぞれ数百点もある膨大な展示作品の中を何度も何度も見返しながら行ったり来たりしていると、自然に強く磁力を覚える作品が1点、2点、目に飛び込んでくるようになる。何故結果的にそれらの作品が僕を刺激するのか。その作品の前に立ち止まってじっと考える。圧倒的な仕事に素直に敬意を覚えながらも、写真家の人生そのものの結晶のような作品群を素材にして、こっちはその一番の旨味を味わい尽くしてやろうとしている。(こういうのを身の程知らずという。)
そして、その問いへの答え(というよりも手掛かりのようなもの)に気付いたところで写真展会場を後にする。勿論、駅まで歩く間も問いは続いている。不思議なもので目の前にその作品がない方がより明確な手掛かりが見つかったりする場合もある。格好の学びの場。
渋谷駅近くの花屋でポインセチアの花籠と祝酒を買って世田谷233へ。こちらはまだまだ若造な二人展。無事五周年企画が実現したことに缶ビールでささやかな乾杯。
2007.12.11 (Tue) 澳門 Macau
*All photos were taken in Macau on 2nd Dec, 2007.
*Konica Hexer 35mm, Kodak TX400.
2007.12.09 (Sun) 強制収容所の楽団
暗室作業。STAYERな20枚の写真。
BGMは、Beirutの『Gulag Orkestar』。
日本語でいうと強制収容所の楽団。
それでもキャラバンは進むのだ。
2007.12.06 (Thu) 展示準備
香港から帰ってきてすぐに、世田谷233で展示する写真を最終セレクト。全て新作。
今回の『STAYER(=そこに留まる人)』というテーマは中根氏が考えたもので、2人で同じテーマの下に競作ということになるのだが、かといって実は彼が与えたテーマに沿って僕が撮影したというわけではない。おかしなもので彼がこのテーマを持ち出す前から、言葉にはしていなかったのだが、僕も同じテーマ性を持って撮影していたのだ。そしてそれは偶然ではなく必然だと思う。そういうものなのだ。
ジャック・ケルアックの『ON THE ROAD』が出版されて今年で50周年だそうだ。先日、青山南さんが手掛けられた新訳(タイトルは『路上』ではなくて『オン・ザ・ロード』)が出版されて早速僕も読んだのだが(その感想は改めて書こうと思う)、旅や放浪の意味そのものはこの50年間に大きく変わったことは確かだと思う。
ここではないどこかに何かがあると感じ、世界の果てまでも移行し続けようとする、そんな旅や放浪のカタチは果たして今どこまで有効なのだろうか。もしも旅が自分の存在、思考、生活、人生というものをアクチュアルなものとして見つめ直す生々しい運動体であるのならば、必ずしもそれは外へ向かうベクトルだけとは限らない。「ネットワーク社会にはもはや未知な外部は存在しない」というメディア論者のお決まりの台詞のようにシニカルにはなりきれないのだが、それでもこの数年欧米の都市を中心に何度も旅に出掛けて感じたのは、確かにその言葉にも一理(どころか、非常に重要な)の示唆があるという実感だった。いずれにしても、今僕達は旅のあり方をもう一度慎重に問いかける時代に生きているのは確かな気がする。
中根氏が揚げた『STAYER(=そこに留まる人)』というテーマにはその意味で、実は閉じこもる人、外への運動を否定することではなく、むしろ逆説的に旅そのもののあり方を、そして僕らが誰しもそれぞれの人生を旅しつづける個であるのならば、その生のあり方を、もう一度問いかけなおしてみようという意図があるのではないだろうか。とまあ、僕は勝手にそんな風に解釈している。中根氏はこの5年間一度も旅に出ていないと思うし、もしかして世田谷や東京という彼のローカルを一歩も出ていないかもしれない。しかし、旅に出た回数や、行き先など、そうしたことは全く関係ないのだ。彼は一歩も動かずとも誰よりも旅をしていると思う。僕は忙しなくあちこちに出掛けていってようやくそんな視点に気付いた学びの遅い奴に過ぎない。
実は来年1月末に大阪で写真展が決まっているのだけど、今回の世田谷233での展示は大阪での写真展にもつながっていく内容(新作)になっている。
そして香港の空港からに九龍・油麻地のホテルに向かうエアポートバスの中で新しい写真展のタイトルを決めた。 『Neighbourhood(ネイバーフッド)』。