PictGalleryでの『ネイバーフッド』展、始まりました。僕は今神奈川県の逗子という小さな町に住んでいます。こちらで日々の糧を得るための仕事をしているため、2週間の開催期間中ずっと大阪に居るということが出来ません。ギャラリーの皆さんやお越しいただいた方々と同じ時間を共有できないことを残念に思っていますし、大変申し訳なく思っています。すみません。この場を借りて気持ちをお伝えさせていただければ幸いです。
写真展の会場には、僕が選んだ今回の写真展用のBGMが流れています。
前々回の日記にも書いたRedHousePaintersという米国サンフランシスコで活動しているバンド(といっても現在は中心メンバーのマーク・コザレク氏は別のユニット、またソロで活動中のよう)のアルバムを選びました。僕がその音楽を聴いたのはもう随分前のこと、多分10年以上前のことではないかと思います。彼らがサンフランシスコ出身だということは今回改めてネットで調べたときに知りました。海と山に囲まれた場所という共通性のせいなのか、不思議と通じるものを覚えました。たまたま逗子という場所に今住んでいるというよりも、彼らの音楽がどこかでずっと鳴っていて、その音に耳を澄ましているうちに、今住んでいる町や、あるいはカメラを向ける場所(=『ネイバーフッド』)に出会っていった。それが本当のところだと思います。音に導かれて生きている。少々大袈裟に言えばそんな感じです。
そしてその音楽をさらにたどれば、それは幼少の時をすごした兵庫の風景、瀬戸内海と六甲山、あるいは中国山地とその先にある日本海の風景、海の青へと繋がっていくと思います。結局、それら全てひっくるめて『ネイバーフッド』なのです。
RedHousePaintersと、もうひとつ用意しました。それは、NickDrakeという英国出身のアーティストの楽曲です。前回の日記に転載したのは彼の『Voice From The Mountain』という曲のリリックです。この曲もやはり10年近くは聴いてきた曲だったのですが、この歌詞の中に「Neighborhood」という言葉が出てくると気づいたのは、実は今回のBGM用の曲を選んでいるさなか、つい数日前でした。ちょっと驚きました。やはり僕は音楽に導かれるようにして写真を撮っているんだと思います。
写真を撮ることしか今は出来ていませんが、本当は自分で音楽を創ることを再開したいと思っています。今回の写真展ではそんなことを思っていることもあって、詩を書きギャラリーに貼り出しました。(それが詩として成立しているかどうかは別として)
いつか、近いうちに写真と言葉と音楽とで、写真展(というのかな?)が出来たらいいなと思います。
PS
Pict Galleryのサイトでは、写真展の様子が見られます。ぜひ覗いてみてください。
2008.01.27 (Sun) Soundtrack #01 for Neighborhood
Voice from the mountain
And a voice from the sea
Voice in my neighbourhood
And a voice calling me.
Tell me my friend my friend
Tell me with love
Where can it end it end
Voice from above.
The sound on the ocean wave
And the sound in the tree
Sound in a country lane
Say you can be free.
Tell me you crowd you crowd
Tell me again
Tell me out loud out loud
This sound is rain.
Nick Drake 『Voice From The Mountain』
2008.01.26 (Sat) 大阪にて
Pict Galleryで展示設営。プリントの状態で見るより以上に、改めて自分の写真のことがよくわかる。結局、それはとても親しい僕自身だということの喜びと苛立ちと。
「思っていたよりも『極東ホテル』に近いですね」とギャラリーオーナーの庄野さん。とても嬉しい言葉。Pict Galleryには新作を、同じビルの2階にあるPict Galleryビューイングルームには「極東ホテル」から4点とポートフォリオを置いた。もしもこの展示を見てくれる人がいるならば、声を残してもらえたら嬉しい。声を聞かせてください。よろしくお願いします。
「ちゃんと大阪に行けた?展示は大丈夫?」今朝まで写真の話をしていた赤々舎の姫野さんから留守番電話にメッセージが入っていた。写メールで無事設営が終わった様子を撮って返信する。するとすぐに返事が届いた。
「ひとつひとつ、成していって、写真が遠くへと導くことを。」
その言葉は僕を強くしてくれる。とてもいい言葉だと思う。そしてそれは僕が写真を撮る理由。いつか世界が僕のNeighborhoodだといえる日が来るまで。いま、ここで、もっと遠くまで飛びたい。
まだ書き終えていない写真展の会場に置く言葉を、何度も書き直し、何度も読み直す。明日の朝までに書けるだろうか。写真展に流す音楽はRed House Paintersに決めている。最初からいつもあの音楽が流れていた。この世のあらゆるものは響きと言葉を持っている。見知らぬホテルの部屋で一人、その響きに耳を澄ませ、言葉を手繰り寄せようとしている。
PS
2月7日〜8日の最終日は、ギャラリーに居ます。
2008.01.22 (Tue) 写真展準備(ほぼ完了)
さっき大阪での写真展用のプリントが仕上がり、そのままルーニイまで額装をお願いしに走った。あとは今週末の設営を待つのみ。
今回はかなり短い時間での準備だったために、ラボの皆さんにも相当無理をお願してしまったし(それでも何度も色校正に立ち会って頂きました、心より感謝いたします)、作品づくりと併走しながらまだ開廊したばかりの新しいギャラリーオーナーとも毎日メールのやりとりをして展示準備を進めてきた。オーナーはその合間にも、雑誌やインターネットなどのメディアに向けてもこつこつと写真展の案内を送ってくれているはずだ。mixi上で、どなたかがつくってくださった鷲尾和彦のコミュニティ(一応、そういうのもある)にまで案内を載せてくれたそうだ。
一人では本当に何もできない。ただただ、皆さんに感謝。
ギャラリーには、2月7日(木)と最終日となる8日(金)には居る予定です。本当は毎日居たいのだけど、ほんとうに申し訳ありません。大切な写真を大切に展示します。ぜひ見に来てください。
鷲尾和彦 新作写真展『 NEIGHBORHOOD(ネイバーフッド)』
会期: 2008年1月28日(月)〜2月8日(金)
会場: pict gallery
大阪市北区西天満2-8-1 大江ビル110 TEL 06-6316-7363
協力: 富士フィルムイメージング株式会社/株式会社イーストウエスト
2008.01.12 (Sat) EMON PHOTO GALLERY『DIRECTOR'S CHOICE』
東京での展示が決まりました。
今回は、11人の写真家の方々とご一緒です。
EMON PHOTO GALLERY『DIRECTOR'S CHOICE』
会期:2008年2月5日(火)〜3月7日(金)
会場:EMON PHOTO GALLERY
東京都港区南麻布5-11--12 TOGO Bldg.,B1
TEL 03-5793-5437
*参加アーティスト:
DAVID FOKOS NILS-UDO 大橋仁 尾仲浩二 海沼武史 小林紀晴 齋藤亮一 中藤毅彦 西山尚紀 藤岡直樹 横浪修 鷲尾和彦
*レセプションパーティ:2008年2月15日(金)18時30分〜20時30分(Free)
*プレスリリース:EMON PHOTO GALLERY『DIRECTOR'S CHOICE』
2008.01.10 (Thu) 写真展準備
年明け、いきなりプリント作業で久々の徹夜。現像液が弱ってきたためにとめたのだがいつまででも続けられそうな感覚だった。一気に1月末の大阪での写真展用の見本プリントが出来上がる。正月甥っ子とサッカーをやったからか、気力体力はかなり充実。プリントを見ながら最終的に作品をセレクトやサイズを判断し、展示構成もあわせて決めていく。
昨日は展示プランを持ってルーニイの篠原さんのところに相談と額装のお願いにいく。 篠原さんのアドバイスも頂いてプランが更に良くなる。(いつもいつも感謝しています。有難うございます。)
さて、本番のプリントだな、というところでカレンダーを見ると、余りにも時間がない。
こういうぎりぎりの生活は改めようというのが新年の誓いのひとつだったというのに。やれやれ。
それにしても、今回の大阪での写真展。いい感じになりそうです。