2007.08.26 (Sun)  欧州再訪

月曜日から欧州に出掛けてきます。
今回は、パリ、ケルン、デュッセルドルフ、リンツ、ウィーンの4都市。リンツ、ウィーンへは1年ぶり、Ars Electronica再訪です。今年のArs Electronicaのテーマは『Goodbye Privacy』。プライバシーとコモンズ、あるいは著作権や肖像権というテーマには以前から強い関心を持っていましたので、カンファレンスでどんな言葉が交わされるのか興味津々です。今回はほとんど列車での移動なので久しぶりに「ユーレイルパス」を買いました。2ヶ月間有効のユーレイルパス4カ国セレクト。フランスとドイツとオーストリアの3カ国じゃん? と思って新宿のHISに買いに行くと、ベネルクス三ヶ国も入れて4カ国周遊にしないといけないとのこと。なるほど、そうだ、確かに。そういわれると、ベネルクス3カ国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ)のどこかの都市に立ち寄りたくなるというもの。アントワープあたりの古びた喫茶店で日溜まりの中で爺さん婆さんに交じってじんわり味わうワッフルなど想像するが、まあ時間もないしきっと無理だろうな。カメラはいつものライカM6。旅写真はこの10年ほとんどBW35mmで撮っているのだけど、今年3月に発売された池沢夏樹さんの『池沢夏樹の旅地図』で使われた写真以外、殆ど外には発表していません。ずいぶん溜まったなあと思いながらも、まだどのようなタイミングで、どのように編集して発表するか、全くノーアイデアです。BWの旅写真、素晴らしい先人たち、あるいは同世代の写真家の作品があるわけで、そう簡単に発表できないなというのが正直なところ。やっぱり発表するとなると相当な覚悟がいるなと当然ながら思ってしまう訳です。特に戦略めいたことを思っているわけではなく、単純に自分の中の気持ちとして。
旅に出るのは、どこに行くかということだけではなくて、そんな自分なりの世界の眺め方に気づいたり、あるいはそんな視点が「降りてくる」幸運をもしかして探しているのかもしれない。そんな気がしています。
ということで、行ってきます。



2007.08.21 (Tue)  夏、再び。

写真のいいところは「終わらない」こと。そしていつでも「始まる」こと。
初めてカメラを買って僕が撮りとりだしたテーマは、東京近郊の海岸線の風景でした。世田谷あたりからバイクに乗って海に向かうと、ふっと空気が変わる瞬間が極めてピンポイントで感じらました。そこが都市と地方のボーダーライン。それ以来、リュックにカメラを詰め込みバイクを飛ばして海に通いました。海の家が取り壊されて観光客が居なくなった後の、秋晴れの日、小春日和の日を狙って撮影をしたこのシリーズは『インディアンサマー』というタイトル(=「小春日和」)が名付けられ、僕にとっての初めての写真展(1999年1月)となりました。このシリーズをまた再開しようと思っています。いつでもまた始められる。写真っていいなと思います。
ジョエル・マイヤーウィッツの作品に『A Summer Days』という素晴らしいシリーズがありますが、あの作品も何年もかけて海の風景を撮影したものでした。10年目、2009年あたりに新しい『インディアンサマー』展ができたらいいな、とわくわくしながら、葉山の海で過ごしています。ちなみに、逗子に引っ越した今では、大きなバイクは自転車に変わっています。



2007.08.16 (Thu)  終戦記念日

終戦記念日。溶けそうなくらい暑い東京。
リサ・モリモト監督『特攻』、シネカノン。
井上青龍『釜ヶ崎』、RAT HOLE GALLERY。



2007.08.14 (Tue)  Macで写真

新しくなったiMacを購入。それと一緒にアップルが提供している写真管理ソフト「Aperture」も購入。AdobeのLightroomも試してみたけれど、Apertureの方が個人的にはしっくりきたので、こっちを選んだ。使うと実際に便利だった。今更だけど、やっぱり時代はメタデータなんだなということを痛感。
最近では、画像編集~公開・共有までワンセットというのが一般化しているのだが、確かに写真を撮っているものにはこれは使えるサービスだと思う。
作品はそれが置かれる環境(ギャラリーや美術館など、あるいはその設置、展示方法)によって魅力も大きく変わるので、何でもウェブでというわけではないのだが、それでも親しい誰かに、あるいは編集者の方に、「最近はこんな写真撮ってます」という風に最近の近況を報告したりするには便利だ。近々そんな風にして公開するパーソナルギャラリーをウェブ上に用意したいと思っています。と、まるでアップルのPRマンのような日記になってしまいました。(でも実際に、WindowsVistaには辟易しています。)

PS
僕の場合、デジタルカメラも使うけれど、フィルムカメラの撮影の方が多いので、PCは毎日のように利用している。撮影したネガをスキャナで読み込んでデータ化し、ネガのセレクト(つまりベタ焼き代わり)をするわけだ。そして選んで選んで、最後に暗室でプリントを焼く。出来る限り暗室作業(プリント作業)時間を少なくしたいという理由は、印画紙の消費、廃液量を少なくしたい、つまり出来る限りは環境の負荷を下げたいと思っているためだ。とはいっても、いまだにフィルムカメラ&暗室作業を行う僕は、環境への負荷をかけている。廃液は業者の方に有償で引き取ってもらい処理しているのだが、そもそもそんなもの出さない人と比べると全く言い訳に過ぎない。なので、環境に関しては全く何も偉そうなことはいえない立場なのだが、常に罪悪感を感じながらも出来る限りの努力はしていきたいと思っている。(全く自分勝手な言い草だなぁ。)とはいえ、全部デジタルというのが果たしてどの程度環境負荷を下げているのか(あるいは上げているのか)をきちんと調べたことがないので、その辺は気になっている。これはちゃんと調べないといけないな。



2007.08.13 (Mon)  『Last Days』

ガス・ヴァン・サント監督の『LastDays』をようやくDVDで観賞。映画館で観るタイミングを逃してずっとそのままになってしまっていた。NIRVANAのカート・コバーンをモデルにしているということで話題になった作品だが、もっと普遍的な物語だと感じた。美しい森の中を彷徨う主人公のロックスター・ブレイクに適度な距離感で見つめ続ける視線(カメラワーク)は、すぐれた写真作品のように、特定の存在を捉えながらも、観る側一人一人の中に潜んでいる無名で匿名の存在を映し出している。例えば、いくら幸福な家庭や友人、あるいは名声や金を持っていたとしても、表現するという行為に手を染めた存在はやはり決して孤独からは逃げられない。それは自身の業や存在そのものとワンセットであるが故に、誰が近くに寄り添おうとそこからは逃げ切れない。森の中を彷徨う主人公の姿は、そうした誰の中にもある風景を描いている。具体的な話でいえば、きっとガス・ヴァン・サントと同じ同郷(ポートランド)のエリオット・スミス(彼もスターダムに登った真っただ中で自殺する)の存在が作品づくりに反映されていると思うが、他にもこの映画の出演者たち(多くは役者であり同時にミュージシャンでもある人々)が持つ様々なエピソードを盛り込まれ、脚本が練られたらしい。虚実混然、そしてそのバランス感覚が、映画に関わらず、さまざまな表現方法において非常に重要な点なのは今更いうまでもないのだが、ガス・ヴァン・サントの作品には、そうしたフィクションとリアリティとの境界を曖昧にする妙が、ストーリーテリング、そしてとりわけ秀逸なカメラワークによって、見事に実現されていると感じる。映画というよりも、Moving Image。それ故に、多くの人の記憶に深く刷り込まれる。静かで、とても強い作品。

PS
これは余談だが。映画の中でルークという名の黒縁眼鏡をかけたミュージシャンが主人公ブレイクに自分たちのバンドのデモテープを渡すシーンがある。
「以前日本に行ったときに、日本人の女性から電話番号を渡された。その子に電話したらすぐに部屋に彼女がやってきた。まるで女優のような美しい女性で、素晴しい身体をしていた。彼女とのセックスは今までで最高のものだった。でも翌日日本を発ってそれ以来彼女からの連絡にいっさい答えていない。そんな彼女に謝りたい気持ちでこの歌をつくったんだが、どうも歌詞がうまくかけない。」そうルークがブレイクに語る。
どこかで聞いたような話だなと思って、よくその眼鏡の奥の顔をじっと見てちょっと驚いた。なぜなら、このルーク役を演じているのがルーカス・ハースという役者であり、僕がどこかで聞いた話だなと思ったのは、まさにそのルーカス・ハース本人から僕が聞いた話だったからだ。数年前、彼が日本に自身のバンドで来日したときに、ちょうど彼と付き合いがあった僕が、ライブ明けの朝、彼が滞在していたホテルを訪ねると、昨日の夜の話なんだけどといって、そんな話を聞かされた。その有名な女優がライブに来ていたのは知っていたし、まあそういうことはよくある話なのだろうけど、目の前で聞かされて生々しかったのでよく覚えていた。ルーカスは映画の中に自身の実話をエピソードとして挿入したわけだ。虚実渾然。ただし、彼の「彼女に謝りたい」という気持ちまでが実話かどうかは勿論僕にはわからないのだけど。



2007.08.08 (Wed)  海遊び(2)

海からの帰り際、海沿いの公園で蝶と遊んだ。
「蝶と遊んだ」というのは変に聞こえるかもしれないけれど、これは本当。子犬を呼ぶように口笛を吹いて、「おいでおいで」すると、ずっと僕の周りを飛び回った。写真撮るぞというと、最後はちゃんとポーズとってくれるんだよね。



2007.08.03 (Fri)  海遊び

晴れたらすぐにiPodと缶ビールを持って葉山の海まで出掛ける。
近代美術館葉山館の前からBlueMoonのあたりはちょっと賑やか。海岸沿いに南に向って御用邸の下辺りにくると家族連れが多くなって気持ちも和む。
更にその先、御用邸から続く芝生が伸びた先の辺りが一人で海辺で過ごすにはとても気持ちがいい。ビーチハウスの賑やかさからも少し離れていて静かだし、何より海からの心地よい風が吹いてくる。
ビールを飲みながら、寝転んで音楽を聞く。
iPodには定番だけどBen Wattの「North Marine Drive」、Jose Gonzalez、Kip Hanrahanの新譜などなど。あと、最近よく聞いているのはコペンハーゲンのmusic for dreamsというレーベルが出している『Folk but not Folk!』というアルバム。
ビールを1缶、アルバム2枚分くらいがちょうどいいんだよね。

PS
ジェットスキーを楽しむ人たちも良く見かける。一色海岸辺りにも、秋谷の先辺りから徒党を組んで海上を爆走してやってくる輩の姿に何度も出会う。ジェットスキーを持てるということでそれなりに金も持っているのであろう、殆どが結構ないい年の人々だ。勿論レスキュー用に使用するのは別だが、あの海の上にガソリンと爆音を撒き散らし、家族連れが和やかに楽しんでいる浜辺に「路駐」したり、浜辺で酒はあおってからまた爆音を轟かせて飛び去っていくという光景をみると正直あまり美しいものだとは思えない。何より、快楽としてはあまりレベルが高いものとは思えない。
改造バイクに跨り路上をかける暴走青年達はそれなりに交通規則や警官の眼を交わすなど、緊張感や時には社会的な制裁と引き換えに快楽を求めているわけで、それならまだ判る。
それに対して海上の暴走中年達にはそういう緊張感もないわけで、それ故の快楽もあまりたいしたものではないのでは、と想像する。要するに単なる「発散」であり、安っぽい遊びではないだろうか。
これはこちらの勝手な憶測であり、そんなことは知ったことではないのだが。せめて単に真っ直ぐ速く走るということだけでなく、どうせならこちらがあっと驚く技でも見せて貰いたいものだ。でも、くれぐれも素潜りを楽しんでいる子供とか轢くなよな。



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