2011.11.24 (Thu)  冬は春を迎えるための季節

気仙沼から大船渡、釜石、宮古方面へと海岸線沿いを北へ向かう。 
夏草が生い茂ったまるで原野のような風景が、再び枯れ草や茶色い土に覆われた荒涼とした風景へと移り変わっている。この春から幾度となく通った道。しかし そのたびに目の前の風景は異なる様相をみせる。自然が剥(む)き出しになったこの場所では、季節の変化がより鮮明に見えるのかもしれない。もうすぐ冬がやってくる。 

気仙沼の本吉海岸では、壊された防波堤や松林がすっかり撤去され、かわりに大きな土嚢(どのう)がいくつも積み上げられていた。その大きさに圧倒される。道々では多くの土木作業員が黙々と仕事をする姿に何度も出会った。削り取られた岸壁の先で出会った測量士と少しの間だけ話をさせてもらった。 

途方もない大変な仕事が続いていくことは確かだ。しかし、それでも出会った彼らはとても静かで穏やかな表情をしているように感じられた。どうしてなのだろう。自然と人とがふたたび関わろうとしていく、彼らがその最前線で働いている人たちなのだと気付いたとき、少しだけその理由が分かったように思えた。 

もちろん、どうにか瓦礫(がれき)の撤去は進んだものの、その先はまだまだ手つかずという場所も圧倒的に多い。土台だけが残る住宅地の跡が続く場 所を歩いていると、突然、白い2本のつややかな木がすっと立っているのが目に入った。
それは午後の日差しを受けて光っている真新しい小さな鳥居だった。 

土埃(つちぼこり)に覆われたモノトーンの世界の中で、そこだけ空気の流れが違うように感じた。新しい息づかい。新しい呼吸。もうすぐ冬がやってくる。
そして冬は、次の春を迎えるための季節なのだ。


(Kamaishi, Iwate. 2011.11.)


※産経新聞2011.11.23.掲載
 



2011.11.19 (Sat)  Not Taking, But Receiving.

昨夜のオープニングレセプションでは、中藤君や公文さんに会えて嬉しかった。
ポートレートはやっぱりやりがいがある。
だって相手は瞬間瞬間に変わり続けるのだから。
世界とシンクロすること、それはどれだけ受けとれるかということ。
写真は、TakeよりもReceiveすることだと僕は思う。
 

(from "In a small field", Nepal. 2011.)



2011.11.03 (Thu)  グループ展のお知らせ

グループ展に参加します。
世界各地で撮影した未発表の作品を中心に展示いたします。
どうぞ宜しくお願いいたします。

EMON SELECTION Vol.2. - "PORTRAITS by 6 artists (写真家と被写体との距離) "
Date: 2011.11.17 thu - 12.09 fri
Place: EMON PHOTO GALLERY
OPEN: 11:00 - 19:00 (Saturday 11:00 - 18:00)
CLOSE: Sunday
Opening Reception Party:  2011.11.17. thu 18:00 - 20:00



(from "In a small field" , Austria. 2008.)




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