2008.08.29 (Fri)  all I want is you

北海道の友人からのメールに書いてあって、久しぶりに思い出しました。
本当に素晴らしい曲。このPVはこれまでに何回観たことか。嬉しいメールをありがとう。また会いましょう。

you say you want a diamond on the ring of gold
you say you want your story to remain untold
but all the promises we make from the cradle to the grave
when all I want is you



2008.08.21 (Thu)  韓国

Gallery illum での写真展『5 PHOTOGRAPHERS SHOW』のために韓国・ソウルへ。
浅田政志、石川直樹、岡田敦、澁谷征司、鷲尾和彦の5人。3月の韓国も、7月の北海道も一緒に行ったいつもの仲間たち。浅田君、岡田君と僕の3人はコーディネーターのスヒャンさん宅に泊めてもらって、ほぼ合宿生活。写真展はもちろん、このみんなで過ごす時間がとても刺激的だし、なによりとても嬉しい。
Gallery illum での展示に加えて行った、スヒャンさんが経営するカフェ・スッカラでのスライドショーイベントに、僕は韓国出発直前の数日間ほぼ徹夜でつくった新作で臨んだ。7月の北海道のツアーから帰ってきて撮った作品ばかりなのだけど、あらためてスライドショーを見ながら写真が変わっていっていることを自分自身でも感じた。そしてそのことは仲間をはじめ、観客にも伝わったようだ。

もうひとつ「向こう側」へ突き抜けていきたいとずっと思っていた、その気持ちが確かに写真を変えようとしている。自力で「向こう側」へ行ければ、それに越したことはないのだけど、不器用な僕の場合は何か外的な要因やきっかけがないといつも気付かない。そんな生き方は正直賢いとはとても言えないお粗末なものだ。そんなことをしなくても人は幸せに生きていける。無理せず心地よい環境を求めていけばいいと思う人がいることもよく分かっているし、それはとても自然なことだと思う。不器用だろうが、愚かだろうが、不自然であろうが、僕の現実は現実として認めなければ何も始まらない。
しかし自らの現実を愚かさを自覚することから始めて、もしもその結果として生み出された新しい「写真」が人の心を動かすのならば、それはそれでいま僕ができる精一杯できることなんだと前向きに考えたい。少なくとも決して後ろには向かっていないのだから。
そしてそんな機会やきっかけを与えてくれたひとにこころから感謝しなければならないと思う。都合のいい話にしか聞こえないと分かっていても。感謝するこの気持ちだけには決して嘘はない。

展示設営、オープニングパーティー、スライドショー、ワークショップ、そして韓国で3組の人たちを彼らのプライヴェートルームを訪ねて撮影し終わったとき、刺すような頭痛と吐き気と寒気に襲われて半日大量の汗をかきながら眠り続けた。目が覚めると帰国の朝を迎えていた。妙に空が青かった。


(by mobile phone : Seoul, 2008.08.)



2008.08.12 (Tue)  Slow

このホテルで過ごす日々も4年目に入った。きちんと数えたことはないけれど、撮影したフィルムの本数を見ると、この宿で出会った旅行者達は多分500人以上だと思う。この丸3年間のうちに何度か会った人たちも結構いる。
どこから来たのか、国籍はどこか、一応は互いに挨拶代わりにそんな話もするが、それはあくまでも挨拶以上の意味は持たない。移動し続ける合間にたまたま同じ一夜を過ごした人間同士として僕らは出会い束の間の時間を共有し、そして翌朝にはサヨナラを交わし合う。
しかしそんな束の間の邂逅こそが、もしかするとこの世界の本当の姿なのではないかとも思う。僕らは誰も漂いながら生きている。

一晩中語り明かす人もいる。もちろん誰でもというわけではない。でも何故だか不思議と同じ夜をともに過ごすことがとても自然のことのように感じあう人もいる。何故だろうかと考えてみたところで、そこには論理的な理由などないように思う。ただその人と会うために今日は自分もここに居た、それでいいのではないかと思う。
例えどんなに長く話した人でも、廊下ですれ違っただけの人でも、さほど撮影に要する時間は変わらない。ほんの数十秒から長くて数分。そんな刹那の時間が最近は随分と長く感じるようになった。じっとその人を見詰める。たった僅かな時間の間に、どんどんその人が変わっていくのが分かる。やがて国籍も眼の色も肌の色も何もかもがどこかに消えていってしまう。ただその人の存在だけが目の前に確かにあって、どこかでその人がとても古くからの友人のような親しく愛しい存在へと変わっていく。あるいは会いたくても会うことが出来ないあの人のように。そしてその瞬間が来た時にシャッターを押す。僅か数十秒の間がとても長い時間のように感じる。あるいは僕らの間の時間だけがとてもゆっくりと流れていく。
特に最近はそんな感覚を強く覚えるようになった。
自分の中の何かが確かに変わっていっているのだと思う。

僕らはだれもが互いの目の前を通り過ぎていくだけの存在。
だから、決して急ぐことなく、例え僅かな時間であったとしてもゆっくりと出会っていけばいいのだと思う。きっとこれまでの僕は急ぎ過ぎていたのだ。



2008.08.06 (Wed)  Back To The Hotel Fareast

「極東ホテル」に戻った。

原油高の煽りを受けてやはり海外からの旅行者も昨年と比べるとかなり減っているそうだが、それでも7月8月は1年で一番込み合っている時で、この時期だけはホテルも満室が続く。予約がどうしても取れない日は別として、毎日このホテルに泊まって真夜中と明け方に写真を撮り、眠い顔で地下鉄に乗って仕事場まで通うつもりだ。
昨夜は随分と撮影した。イタリアから来た二十歳の女の子達は写真を撮るというと新宿で買って来たばかりの女子高生の制服に着替えてくれた。ソフィ・カルにダンスを教えていたというスイス人の老女は年に1度会えるかどうかというくらい物凄くインプレッシブな女性だった。そんな人に会った時は何も言葉は入らない。彼女の懐にすっと抱かれるようにして身を任せれば写真は既に撮れている。昨夜は一晩で10組は撮影しただろうか。
この場所には小さな塵が積み重なるように通り過ぎていく数多くの人々が残した匂いが少しずつ積もっていて決してそれは消えることなく漂い続けている。そして何故かその匂いにつつまれると落ち着くから不思議だ。それはきっと「世界」の片隅に身を置いている感覚を覚えるからなのだと思う。一歩も動くことなく僕は世界を旅しているようだ。

失うことはとても痛くてそう簡単に回復など出来るわけがない。しかし同時に(そして皮肉にも)それは自分を空っぽにリセットすることにも繋がっている。目の前ですれ違う存在、コトバ、響きをこれまで以上に受け入れていこうとしている自分に気付く。昨日よりも「写真」に近づいていく気がしている。写真を撮ることが今の僕に出来る全てなのだ。



2008.08.01 (Fri)  祭り

新千歳空港に早めに着いてから、札幌市内でみんなに合流するまで、何時間もずっと空港のラウンジに座ってこの数ヶ月間の旅の最後にやり残してきたことに向き合った。もう数週間もかかりっぱなしだった。これが済まないと皆には会いに行けなかった、新しい旅にも加われなかった。その結果がどこへと繋がるのか、あるいは何も繋がらないのかは分からないし考えたところで仕方がない。もう全てを引き受けて進むことを決めたのだから。

北海道にいる時は、スライドツアーのことだけで頭がいっぱいだった。
この数ヶ月間続いていた張り詰めていた気持ちからこの1週間だけは気分を切り替えることが出来たのは幸運だったと思う。1年に1回、崩れたバランスを取り戻すために死と再生とを行うのが「祭り」の意味だと石川直樹君がバリ島のガルンガン/クニンガンの写真(石川君がこの写真を撮ったまさにその時僕もバリ島にいてこの祭りも見ていた。それにしても不思議な縁。)を上映しながら話してくれたのだが、今回のツアーは言ってみれば僕にとっての「祭り」だったのかもしれない。しかし正直東京に帰ってくるとそう簡単には行かないことに気づいてしまいなかなか難しいのだけど。
今回のツアーではとても得ることが大きかったし、改めて自分の写真のこと、いや自分自身のことを見つめ直す良い機会にもなった。課題も自然に見つかった。本当にありがたい。
そのことをコトバではなく自分自身の身を持って、あるいは作品を通してかたちに出来るようになりたいと思う。

北海道から帰って来た翌日は逗子の花火大会があった。多くの人が海岸沿いに急ぎ少しでも近くで花火を見ようと詰めかけているのを他所目に、僕は真っ暗な中を懐中電灯を握り締めて山へと登った。静かな森の木立の合間からずっと誰にも邪魔されることなく眼下で激しく煌めく光を見続けた。そして何本ものフィルムを使って写真を撮り続けた。
少しずつ傾いたカラダを治しながらバランスを取り戻していくしかない。


(Chasing a ball, Sapporo, Hokkaido. 2008.07.)



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