Neil Youngの最新アルバム『Living With War』の楽曲が、オフィシャルサイトで全曲無料ストリーミングされている。
同時に、ブログ(livingwithwar.blogspot.com)、SNS(myspace.com)、YouTube等、様々なネット上の展開も行っている。
歌詞はオフィシャルサイトで読むことができる。またレコーディング風景の映像も配信している。
アルバムタイトルロゴが、CNNロゴのパロディで面白い。
つまり、これは1枚の音楽アルバムというよりも、『Living With War』という運動体、あるいはメディアだということなのだろう。
ブログには、「this is about exchanging ideas... it's about getting a message out. It's about empowering people by giving them a voice. I know not everyone believes what I say is what they think. 」という彼の言葉が記されていた。
音楽というよりも「ideas」。その発想に強く頷く。
ちょうど今発売中の『クーリエ・ジャポン』誌にも、このNeil Youngの活動をレポートしたNY Times誌の翻訳記事が掲載されている。そこでNeil Youngは「時事ニュースがらみの曲は売れないというなら、売らなければいい。音楽は流せばいいんだ。」「それでもみんなに聞かせることは出来る。」と語っている。
音楽を含め、アートや文化と呼ばれるものが、別になくても人間は全く生きていける。それらは余剰のものでしかない。だからこそ、その中に誰かとシェアするに値する「ideas」があるかどうか、なくても生きていくことは出来るけど、それでもその「ideas」があることで、生き易くなるかどうか。結局そういうところにしか表現活動の意義はない気がする。
そして、「ideas」があって初めて道具、武器は上手く活かせる。
(ちょうどオリコンが40周年ということで、歴代のNo.1楽曲のリストが掲載されていたが、90年代以降の楽曲がほんの一握りを除いて、販売規模(売り上げ枚数)と楽曲のクオリティ、あるいは「ideas」との反比例だということが如実に分かって興味深い。特に90年代初頭のミリオンヒット時代は、殆ど何かの間違いではないかと思えてくる。
そこには、お金の匂いはあっても、シェアしたり、引き継いで行きたいと思う「ideas」はあまり見当たらなかった。あるいは単に僕の感性の問題かもしれないのだが。)
さて。
まずは『Living With War』に耳を傾けてみようと思う。
2006.05.29 (Mon) 新月祭
今日は午後から、鎌倉・妙本寺で行われた『新月祭』に出掛けた。
これはNPOルートカルチャーが主催する「持続可能な文化都市・鎌倉」をテーマにしたカルチャーイベントで、今回はその第1回目。この土日2日間に渡って妙本寺境内でコンサート、展示会や伝統工芸のワークショップなどが開催された。
日曜日のステージにMISHKAが出演すると主催者の友人から聞き、原チャリを飛ばして出掛けていった。
MISHKA。BOB MARLEYから思いっきり切ない所だけを引き継いでしまったようなアーティスト。先日5年ぶりに2枚目のアルバムをリリースしたけれど、彼がちょうどUKのCreationレーベルからデヴューアルバムを出した直後、僕はLAで彼に会ったことがある。
映画の撮影の仕事でLAに滞在していた時、ウエストハリウッドにある「Whiskey A Go Go」というライブハウス(かってはあのDoorsも出演した由緒あるライブハウス)で、彼はジャマイカのレゲエシンガーLucianoの前座で出演していた。
僕は既に彼のデヴューアルバムを聞いていてとても気に入っていたので、MISHKA目当てにライブハウスに出掛けたのだけど、どうもLAでは彼は全く知られていなかったらしく、客は僕1人だった。酒焼けの赤ら顔の冴えない英国人のマネージャーと彼は2人だけでロードに出ているらしく、ステージもアコースティックギターを抱えてたった一人で歌っていた。
客は僕一人だったから、ステージの上からも目立つし、脇でTシャツを売っているマネージャー(といっても客は僕一人なのでTシャツは売れないのだが)も、僕の存在が当然気になる。
それで、ステージが終ると、当たり前のように、僕とMISHKAとマネージャーの3人は一緒になって、ビールを飲み、会話を楽しみながら、一緒にメインアクトのLucianoのステージを見ることとなった。Lucianoのステージはまるで「盆踊り」のような過剰なステージだった。やたらと「JAH~!」を連発するエンターテイナーっぷりは、正直僕はあまり好きになれなかった。(何せ、そんなに連発するとあまり有難味がない。)それよりも一層、Lucianoと対照的にひっそりと切なげに歌っていたMISHKAのステージのことが益々印象深く残っていった。
Lucianoのライブが終っても、僕らは少し話しをしたけれど、今はその時何を話したのかは全く覚えていない。でも「今度は日本でライブを見れることを楽しみにしているよ」というと、訛った英語で「THANK YOU」と彼が言ったことだけは覚えている。
今日の『新月祭』、妙本寺本堂・祖師堂で見た彼のライブはちょっとだけ逞しくなったようだが、それでもやっぱり切なすぎる歌は変わらなかった。
ライブが終って、LAで会ったときのことを話すと、彼はその時のことをちゃんと覚えていて、「何だかとても昔のことのようだね」とちょっと微笑んだ。
彼はきっとこれからもあまり変わることなく、淡々と、淡々と、自分の音楽を続けていくのだろうなと思う。そんな彼の変わらないリズムは、とても心地良いものだなと僕は思う。
次に観るときも、例え10年後でも、このまま何も変わらない歌であったらいいなと思う。
その方がきっといい。
PS
同じく、『新月祭』で早川義夫さんのライブも見た。僕は大学生の時、ジャックスや早川さんのソロアルバム「かっこいいってことは、なんてかっこ悪いんだろう」と繰り返し聴いていた。(勿論、全然時代的には後追いなのだけど)
パッションとコンパッション、そして身近な風景を救い上げ歌う早川さんのライブは「大人」だった。それは全く「雰囲気」だけの「子供」バンドには太刀打ちできない強さがあった。見てよかった。
2006.05.23 (Tue) 写真問答
『THE EXPOSED』展の関連企画、「後藤繁雄の写真問答」(富士フィルム・デジタルフォトダイアリー)に参加することになってしまった。
僕は23日(火)から4日間。
他には同展覧会に参加している写真家の方々(塩田正幸、在本彌生、石川直樹、小山泰介)の問答も。
なかなか難しいのだが、いい機会ともいえる。
2006.05.21 (Sun) 大阪へ
大阪・海岸通ギャラリーCASOにて行われている写真展『THE EXPOSED』に行くために土曜日の午後から1泊で大阪へ。まっ黄色なライトのために、カラー作品もモノクロとしか見えないという今回の展示に関しては、あちこちで色々と物議を醸し出しているらしい。でもまあそれは椿さんと後藤さん2人で企画するというお話をお伺いした時から予想していたことだったりする。
『THE EXPOSED』展については、『美術手帖7月号』に写真評論家・竹内万里子さんが展評を書かれるとのこと。そちらがどんな内容になっているのかも楽しみだ。
さて『THE EXPOSED』展を覘いた後は、地下鉄中央線・御堂筋線を乗り継ぎ心斎橋へ。毎度お世話になっているフジイカメラさんにローライフレックスの修理をお願いしてから、南堀江digmeout cafeまで。店長・古谷さんから、今回の『THE EXPOSED』展にも参加されている写真家の在本彌生さんがgrafでも展示をされているとお伺いし、直ぐに出掛けてみた。こちらは2台のプロジェクターによるスライドショーと在本さんご自身の旅日記のモノローグ。小さな部屋に投影される写真を見ていると、初めてカメラを手にして旅をした日々が思い出されていった。
夜8時前、JR大阪駅から山陽本線・新快速に乗り込む。
混み合う電車に揺られながら「いつか僕も旅の写真をまとめて発表する機会が来るのだろうか」と、ぼんやり考えてみた。もしそうだとしたら、小さな場所(必ずしもギャラリーでなくても良い)で、どちらかというと、こっそり親密な感じで楽しむ会がいいなと思う。友達も偶然立ち寄った人も一緒に、ビールでも呑みながら、写真を見ながらワイワイとやるのもいいなと思ったりした。まだ誰にも見せていない写真や土産話だけはたっぷりあるので、毎月定例ってのもいいかもしれない。
そんなことを考えていると、あっという間に実家近くまで帰って来ていた。日曜日は21日なのでちょうど「お大師さんの日」、久しぶりに祖父の墓参りに出掛けようと思う。
2006.05.18 (Thu) ハワイ取材その後
先月のハワイへの旅とジャック・ジョンソンが主催するKOKUA FESTIVALのレポートについては、近々『PAPER SKY』と『mammoth』という、ともにニーハイメディアが発行している2誌でレポートすることになっていて、現在はその原稿の執筆中だ。
ジャックと話したのは、実は彼の子育て論だったりして、恐らくそういう内容のインタヴューというのは日本のメディアだけでなく、他国の取材でもあまり見れないのじゃないかなと思うので、ぜひとも楽しみにして頂きたいと思う。
大体の原稿化のイメージを持ってハワイに向かったので、それに対応する内容は勿論おさえてきているのだけど、やはり現場に行けば思いも寄らなかった出会いがあったりして、それはメディアに載る載らないに関わらず、写真や言葉にして残したいと思う。
仕事目的で渡航すると、殆どその目的以外の写真を撮らないというカメラマンもいるだろうが、仮に仕事の目的があったとしても、それとは一見全く関係ないと思われたちょっとしたきっかけが、本来の仕事の内容の質やテーマを深めるための大きな要因になることも確かにあると僕は経験的に思っていたので、私的な写真も大量に撮影していたのだが、果たして今回も実際にそういう巡り合いに恵まれた。運に身を任す、あるいは運を掴みとるのも、写真家の仕事の一つではないか、と益々思うのだ。ということで、『PAPER SKY』と『mammoth』、2誌のための原稿を書きつつ、その傍らで、誰にも頼まれていないとっておきの原稿をも僕は書き出している。
(Rocky Point近くでスクールバスを待っているLeoni。チャーミングでスマートな女の子だった。)
2006.05.09 (Tue) 旅の報告(1)
野良犬とこども達が駆けまわるのが、バリ。
漁村近くの砂浜を黒い野良犬が走っていく。
コンパクトカメラを握って一緒に走る。
(Jimbaran)
2006.05.08 (Mon) バリから帰国。
土曜日、バリから帰国。不在の間にスタートした大阪CASOでの展覧会の方が気になっていたのだけど、今回のキュレーターである後藤さんのホームページにその様子が出ていて、どうやら無事展示されているようでほっとした。
後藤さん、椿さん、京都造形芸術大のスタッフの方々に心より感謝します。