2006.10.30 (Mon)  再び、京都 (追伸)

土曜日は、結局、朝一で京都近代美術館の『若冲と江戸絵画展』に出掛けてきました。開館と同時に入ったのであまり混むこともなくじっくり作品を見ることが出来ました。
合わせて以前から見たかった曽我蕭白の作品も数点見ることが出来たので、早起きして良かったです。
来年には、相国寺で「動植綵絵展」があるとか。これは正直今回の『若冲と江戸絵画展』よりも個人的にはとても見たい展覧会です。また京都に出掛ける機会が増えますね。



2006.10.27 (Fri)  再び、京都。

京都に来ています。
昨日は地元京都の高校生、ユウマ君と、ユカさんに会う。
ビデオカメラ回しながらインタヴュー。
その後、prinzに行ってお茶をしていると、先日ARTZONEの展示でお世話になった、造形大の佐藤君に声をかけられる。ここでバイトしてたんだね。会えてよかった。
2Fのギャラリーでやってる写真展もちょっと覗く。モノクロームの静かな花の写真。自分にとっての大切な世界に向き合える写真はやっぱりいいですよね。

ホテルに戻ると、さっき回したビデオカメラの調子が悪い。DVテープが取り出せないことに気付く。今朝、大阪のキャノンの修理センターまで大急ぎで出掛けて、なんとかテープを無事確保。どうも中のモーターそのものがいかれているらしいとのこと。テープさえ手元にあれば問題なし。ビデオの修理は後で考えよう。
今日はまた別の高校生に取材するので、まっすぐ京都にとんぼ返り。でも流石になんなので、大阪駅すぐ近くのOSカメラを覗く。
ちゃっかりローライフレックスのフードを見つけ購入。やっと手に入った。
愛機のローライを見て、店長は「ぼろぼろですね~」。
確かに、かなり痛んでいる。がんがん使ってんだもの、しょうがないよなと思いつつ、京都のホテルの近くのカメラ屋でクリーニングキットを購入。
高校生に会う前の時間、ホテルの部屋でローライ君を丁寧に磨く。
ごめんね、荒っぽく使ってて。

「若冲」展、まだやってるのかな。見たいなあと思いつつ、その余裕はなさそう。
原稿の校正も溜まっているし。今夜も明け方まで一人で原稿書き。
こうして京都の夜が更けていくのであった。




2006.10.26 (Thu)  HappyとSad

PUNCTUMで開催中の小山泰介君の写真展を観にいく。
ちょうどギャラリーには小山君も居て、PUNCTUMの寺本君と3人でしばし談笑。
HAPPYとSAD、BEAUTYとUGLY、ということについて話す。
小山君の美しい新作が、動物園のカバの排泄物を写したものだと聞いて最高だなと思った。
その後、11月21日から行う写真展の準備のために自宅に戻る。
暗室で先日撮影したフランス人の女の子のポートレートをプリント。
BGMは、久しぶりのSmashing Pumpkins。
週末、夜の湾岸線を車でドライブしながら、久しぶりにSmashing Pumpkinsをずっと聞いて以来、今週はずっと繰り返して聞いている。多分僕が20代のときに最もリピートして聞いたアルバムは彼らの『Mellon Collie and the Infinite Sadness』だと思う。
明け方前の4時、今日の暗室作業終了。
最後の曲は『1979』。この曲聞いたらまだまだ終われない気がしてきた。



2006.10.21 (Sat)  写真集の見本が出来ました

今年選考された『フォト・ドキュメンタリーNIPPON』が1冊の写真集になって販売されます。
僕の他に14名、合計15人の写真家が参加しています。
大きく4つの章(テーマ)に分類されているのですが、「極東ホテル」は、「3. Street~Life On the go」という章です。
これは、束見本の表紙。
11月半には書店に並びます。
その頃には改めてご案内したいと思います。



2006.10.11 (Wed)  再会

Rainyday bookstoreで行われた池澤夏樹さんの朗読会に行く。
朗読は2作品、『骨は珊瑚、眼は真珠』のなかに収録されている「鮎」という短編。そして、タイトルを聞き逃したのだが、「声」「言葉」についての短編。
ちょうどマーク・エイブリーの『「消えゆくことば」の地を訪ねて』や、ウォルター・オングの『声の文化と文字の文化』などを読んでいた僕の中ではにとてもタイムリーなセレクトだった。
朗読が終ったあと、池澤さんが「結局、文章も声に出して読んで引っかかるようなものだと駄目だ。」と話されていた。
まあそんな個人的な話以上に、憲法改正問題まで繋がっていくキナ臭い話が急速にリアルなものとして存在してしまっている今を意識して、池澤さんはこの短編を選ばれたんだろうとは思う。

途中の休憩時間に少し池澤さんとお話をする。去年の3月にフォンテーヌブローでお会いして以来、1年半ぶり。
今週末から北海道立文学館で開催される『池澤夏樹のトポス』展にあわせて制作中の新しい著書の中で、僕が撮影した池澤さんのポートレートやフォンテーヌブローの町の写真が掲載されることになった。「もう少し書かないといけないんだよね。それでも11月末頃には出ると思うよ。」と池澤さん。お元気そうで何よりだった。

僕が池澤さんの作品を知ったのは、今から10年ほど前。編集者の友人から『きみが住む星 』という本を誕生日にプレゼントしてもらったことがきっかけだった。昨日はその友人も朗読会に来ていて、僕らは数年ぶりの再会となった。更に、もう一人の友人、イラストレーター下田昌克君もやってきて、結局僕らは朗読会後、深夜まで南青山のレストランでとても楽しい時間を過ごしたのだった。

友人から誕生日に貰ったプレゼントがきっかけで池澤さんの存在を知り、それから10年後、こうして池澤さんの朗読会で再び再会している。そして僕はある出会いから、彼の書籍に写真を提供することにもなった。とても不思議な巡り合せだなと感じながら、それでも僕らが素直に生きていれさえすれば、こうした出会いや再会は、自然に起こるものなんだろうな、とも感じた。

PS.
現在発売中の『COYOTE』池澤夏樹特集号に、「消えゆく言葉の国」というタイトルで1P、僕の写真と文章が掲載されています。



2006.10.10 (Tue)  無題

写真というものは、確かにある意味、残酷なものかもしれない。
既に此の世に居ない存在を、まるで其処に居るかのように映し出し、時を止め、定着させてしまう。
しかし、その写真を見る度、かっての生を、その感触を思い起こすことも出来る。
全ての写真はイリュージョンかもしれないが、でもその感触を思い起している自分自身はイリュージョンではない。
その時、その一瞬は永遠にもなりえる。過去は現在でもあり続ける。生と死は常に入れ替わる。
そしてその間を僕らは写真を通して常に行き来する。
忘れることも出来ず、かといって直に触れることも出来ない。

姪と甥が兄弟のように可愛がっていた柴犬のリキが2歳と数ヶ月という短い生命を終えた。
この写真は、1年余り前、実家に帰ったときに撮影した写真。
あの時、近くのグラウンドまで皆で出掛けて、リキも一緒にサッカーをした。
写真だけが今ここに残っている。
死の前では、あるいは生の前では、写真なんて卑しい存在でしかない気もする。
この写真は何のために存在しているのだろうか。
忘れないため? 思い出すため? 
今はまだ僕はよく分からない。




2006.10.08 (Sun)  Come Here

一昨日、とても嬉しいメールを頂いた。
以前僕映画『Before Sunrise』の中で使われていたダニエル・ジョンストンのカバー「Living Life」のことを日記に書いていたのだけど、その日記をご覧頂いたある方から、あの映画の中で主人公のジュリー・デュルピーとイーサン・ホークがレコードショップを訪れたシーンで使われている楽曲についての情報を教えていただいた。

Kath Bloom の 『Come Here 』。
そうこの曲、ずっと探してました。
メール感謝します。
しかも、便利なものでYouTubeにそのシーンまでアップロードされている。
違法ですよね、きっと。でも良い曲、良いシーンなので、URL掲載します。

http://www.youtube.com/watch?v=nQpYHiB0k6k




2006.10.06 (Fri)  誕生日

昨夜京都に一泊してから、大阪・心斎橋アメリカ村に移転したdigmeout Art & Dinner(digmeout cafeから名前も変わったんですね)まで出掛ける。新装開店だというのにお祝いもご挨拶も出来ていなかったのがずっと気になっていて、京都から逗子まで真っ直ぐ帰らず、大阪に立ち寄った。digmeout Art & Dinnerの古谷さんと昼食を食べながらしばし談笑。新しいお店もとても居心地が良く、直ぐに逗子に帰らなければならないことがちょっと残念だった。
店内はちょうど写真家の古渓一道さんの写真展を行っていた。実は僕は今から5年ほど前まで、数年間ほど恵比寿MILKというクラブでロックDJをやっていたのだけど、古渓さんはしょっちゅう僕らのDJの日に遊びに来ていたので、僕自身は彼のことはよく覚えている。嬉しい偶然。彼が撮影したミュージシャンのポートレートをじっくり見る。
その中の1枚に、ジェフ・バックリーのポートレートがあった。場所は何処だろう。多分、新宿リキッドルームの楽屋かな。この日記で何度もジェフのことは書いたけれど、僕と同世代のミュージシャンの中で、は最も重要な存在の一人。恵比寿MILKでも、彼の命日近くの日にDJをやる時は、必ず『Eternal Life』という曲をプレイした。
そんな日々のことを思いがけずに思い出してしまった。今でも彼の音楽に出会ったときのような強烈な、まさに胸を掻き毟られるような焦燥感というのは殆ど感じたことがない。

今日、僕はまたひとつ年をとった。
帰りの新幹線の中で聴いていたのは、何故か、井上陽水。

月は流れて東へ西へ
夢の電車は東へ西へ




2006.10.02 (Mon)  季節

小春日和の翌日は、秋雨前線の影響で朝からずっと雨が降り続いている。
こうして一日一日寒くなっていくんだろうな。
小雨が降る中を傘を差して、朝食を食べに近所のハワイアンフードを食べさせてくれるカフェに出掛ける。しかしブレックファストはやっていなかった、ランチタイムからの営業だ。ハワイアンの朝食、良いと思うんだけどな。秋雨にはハワイアンよりも、煮魚定食の方が似合いかもしれないな、と思いつつ、駅前の定食屋でちょっと早い昼食も兼ねた食事を済ます。
今夜の夕食用の食材を買い込んで自宅に戻ると、どうも家の中が静かだ。
姿が見えないなと思って探したら、うちのチロはもう早くも一人で毛布の中に包まって眠っていた。どこよりも早く寒い季節はここに来ていた。




2006.10.01 (Sun)  10年後

深夜2時。宿で知りあったドイツ人の映像作家フェリックスらと近くの飲み屋に出掛ける。飲み屋に置かれているパソコンは15分100円。ワンコインでYouTUBEにアップロードされている彼の作品を飲みながら鑑賞する。隣では酷いコックニー訛りの英国人が、僕らと一緒にいるオルレアンから来た女の子を口説いている。

夜中になると路上に止められている自転車のサドルが夜露で濡れるようになってきた。外は殆ど誰も歩いていない。パーキングの鉄条網を背にして浮浪者が一人眠っているだけだ。オレンジ色の街灯に照らされて色がすっ飛んでしまっている。それはまるで三次元化した「影」。立体的で、重さも持っている「影」。

ホテルに戻ってから、それぞれの部屋に戻って眠る前に、一人ひとりの写真を撮る。
翌朝は誰も朝からは起きてこなかった。
僕だけ朝7時過ぎには起きて、シャワーを浴び、そして前日約束していたドイツ人の大学生と一緒に朝食を食べに外に出掛けた。朝から秋晴れが広がっていた。

そういえばこういう秋の小春日和の日に、初めて自分の写真を撮ろうと思い立ったのだということを思い出した。バイクに乗って当時住んでいた世田谷から第三京浜を飛ばして湘南方面に出掛けた。それは、今から10年ほど前のこと。
あの時から10年後の今、昨日知り合ったばかりの異国から来た女の子と一緒に朝食を食べている自分がとても不思議な気がしてきた。
そして、もしかすると10年後、20年後も、あるいは老人になっても、こうしてここで同じように、見知らぬ誰かと一緒にシナモントーストを食べているかもしれないなと、ふと思った。



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