2002.05.24 (Fri)  MTV

  MTV主催のヴィデオ・ミュージック・アワードに出席。別にノミニーズであるわけではなく、選考委員の一人として参加したわけだ。
オペレーションの問題はあったとはいえ、本国米国から来たクルーによる、完全にアメリカン・エンターテイメント ・スタイルでパッケージングされ、アワード開催の前の「レッドカーペット」(赤絨 毯)にセレブリティが登場するところから始まり、本編前に関係者を集めたパーティ ーも行われと、それはそれはまるでいつも見ている海外のTV番組のあのシーンに自分 が入り込んだような妙な高揚感が満ちている人々で埋め尽くされた不思議な空間だっ た。 
プレ・パーティーでもその後のアフター・パーティーでもそうだけど、なかな か日本人というのはその場で初めて顔を合わせたヒトと会話を楽しむなんてことない 。やはり遠巻きに「あのヒト誰だろ?」とこそこそ気にしながら各人が距離を置いている様子はここでもいつものように見受けられた。(勿論、だからといって 「Hi!」と気軽に声を掛け合う米国人がヒトとのコミュニケーションを大切にし思いやり生きているというわけでもないのだけれど。) 
それはともかくメインイベントであるアワード授賞式とアーティストパフォーマンスの内容で気付いたことは、やは り海外からの招聘アーティストと日本人アーティストのパフォーマンス、演奏力にお ける力量の差であり、結局ライブでこそ、そのアーティストの本当に姿が逞しく、ま たは無残に晒されてしまうということを改めて感じさせたことに尽きる。個人的には 、長時間最後まで待たされ、しかし誰よりも1曲に集中しすばらしい演奏を披露し 、しっかり最後のプレ・パーティーにも顔を出しプロフェッショナルとして仕事をこ なしていたOASISと、一番最初に賞を受賞した後、一度もノミニーズ席に現われず 、最後の大トリで誰よりも多数の取り巻きを従えて、(唄を奏でるというよりも)何 か騒々しい「音」を出していたにしか過ぎないパフォーマンスと「みんな私のために 来てくれて有り難う」的なコメントを残し、パーティー会場にも勿論顔など出すこと もなく消えた、浜崎あゆみとの対比が象徴的だった。アティトュードの違いはアーティスト性のひとつ、と譲っても、結局後者は「唄」とも言えない奇妙な音を響かせていただ け、果たしてこれがトリのアーティストとして本当に相応しかったのかにはやや疑問 だった。 それは受賞者のリストにも同様のことが言える。
  その点、同じ日本人ではMr.Childrenのみ、唯一、演奏面、観客へのコミュニケート、そしてパフォーマ ンス全てにおいて、OASISにならべても遜色ないものを見せてくれ、僕は逆に彼らの ミュージシャンとしての決意の強さのようなものをしっかりと感じることが出来た。
まあ、音楽評論家ではないから、その辺にするとして。いずれにしても、この VMAJという機会はそんな音楽ビジネスにまつわるユニークな発見をすることが出来た意味でもとても面白いものだったと思う。
  今回は第1回目ということでいろいろな事 情もあるのだろう、でもここから本格的にMTVが日本でスタートするというのなら 、今後彼らがどのように世界へのプレゼンテーション力を獲得していくのか、まさに その点こそが今後は問われることになるのだろう。 個人的にはスタイルは米国式か もしれないが、内容においてはそんなものにとらわれることなく、ぜひ世界に対して 独自のブランド感と審美眼を発揮していって貰いたいな、と思う。



2002.05.15 (Wed)  パンクス

  先日雑誌の仕事で、立花ハジメさんに御会いした。インタヴューと写真。 プラスティックスって子供の頃は特に気にしていなかったのだけど(僕はそんなCOOLでSMARTな奴じゃなくて、めんたいロック~Roosters、ARB、MODSといったバンドに入れ込んでいた田舎の野球少年だったので)、 ちょっと前に映画館で見た『DOWNTOWN81』 にプラスティックスが出ていて、ジョンルーリーとか、DNAとかジェームス・チャンスとかバスキアに混じって日本人のアーティストが出ていることを改めて映像で見て、やっぱり当時は相当日本人としていけてたんだな、と痛感していたところだった。立花さんはちょっと神経質な風貌に反して、何より今自分が作っているアートをきちんと伝えてくれるとてもHOTなヒトだった。
 「デザインと発想(プログラミング)」を両立させて呈示するというスタイル、つまり単に「かっこいい」ってことだけじゃなく、「かっこよくて誰もが使えるもの」というスタンスが実はプラスティックスの頃から一貫していることを再確認し、何故立花さんが若いデザイナーやクリエイターから尊敬されているのか分かる気がした
 僕が撮ったポートレートを後日お見せしたところ、「こんな感じで誰も撮ってくれなかったんだよねえ」と凄く気に入ってもらえた。
 PS.それにしても、先に書いた『DOWNTOWN81』って、なんか好きだったなあ。勿論、CLASHもJAMもFEELGOODも好きだけど、とってもPUNKだなあって感じがした。(一般にはNEW WAVEとかっていうんだろうけど。)
PUNKの衝動も好きだけど、PUNKはクリエイティブだし、自由なもの。 映画の中、主演のバスキアが最後にデボラ・ハリーの天使に出会うところ。
そうPUNKって実はスウィートなものだな。



2002.05.05 (Sun)  音楽

ようやく仕事としてヴィジュアルプロデュースを担当させていただいたモンドグロッソの『BLZ』 が発売された。先週末は、モンドグロッソ=大沢伸一さん主催のクラブイベント『FEARLESS』が西麻布YELLOWであり、そこにプロモーションビデオに出演してくれたダンサーの人たちも駆けつけ、大いに盛り上がった。
無事僕の仕事も気に入ってもらえたようで、なにはともあれ一段落。僕も音楽は凄く好きだし、写真を撮り始めたのも実はずっと20代を通してずっと続けてきたバンドが解散したことがきっかけであって、そもそも音楽しか知らなかったほどの人間だった。自分の音楽で世に出ることは(今のところは)実現できていないが、何らかのカタチで好きな音楽に関わることが出来るのもそれはそれで嬉しいことだったわけだ。
『FEARLESS』が開催されたYELLOWといえば、10代の終わりごろ、一人で毎週末遊びに出掛けていたところで、その頃僕はDJ K.U.D.Oさんとかのストイックなテクノ、アンビエントなんかを一人でフロアに立って聞き入っていた。あの頃は、僕のようなガキよりも、普段何してんだか分からないような怪しい親父達が溜まっているような場所という感じで、僕も毎週通ううちに顔見知りになったそんなおっさん達に可愛がられて酒とかおごってもらったりしていたのが面白く、まあこういうクラブってそういうもんだろう、と思っていたんだけど、最近たまに行くとどうも殆どそれは日本のPOPSアーティスト達のライブか、渋谷の路上かってなくらいごく普通の毎日の延長にあるような場所 になっていて、むしろ面食らってしまう。ビデオに出演してくれたダンサー達はその点、もう踊って生きていければそれだけでし合わせって連中ばかりだから面白かったんだけど、それ以外といえば、単純に、あんまり新しい発見がなかったな。
「耳も越え、知識も増え、ごく日常に音楽が流れる環境にあるんだから、それはそれで幸せなことじゃない?」 誰かはそういうかもしれないけどね。
でもあの何もない沖縄・与那国で、島をドライブしていた時、僕は風に乗って流れていく様々な「音楽」を聞いた気がした。そこは何もないけれど、必要なものは沢山ある不思議な場所だった。あの渡難(ドナン)の鋭く深い蒼の海を越えて響いてくるそんな感覚を覚えた。  次の日、暗室で先日の沖縄写真を焼きながら、もう一度そんな「音楽」を聞きたいなと思った。



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