2009.10.26 (Mon)  travelogue #26 "Looking for Atlantis"


("Finally, we got to find the Atlantis", 2009.10.)



2009.10.25 (Sun)  ポップスター

久しぶりにCDを渋谷HMVで購入。渋谷なんて本当に久しぶりでよほどの用がない限り行かないのだけど、幾たびにCDショップの売り場がショボくなっていく感じが現状を表しているようで、かなり感慨深い。CDショップに行ったのはやっぱり待ちに待ったアルバムがリリースされたからで、古い体質なのかもしれないけれど、そういうのは、DLではなくまだCDで購入してしまう。購入したのは、Prefab Sproutの本当に久しぶりの新譜『Let's Change The World With Music』と、こちらも4年ぶりのKings Of Convenienceの新譜『Declaration Of Dependence』。あと合わせてアシュケナージのピアノによる『ラスマニノフ/ピアノ協奏曲第2番・3番』。ラスマニノフはともかくとして、先の2枚のリリースは本当に心待ちにしていた。

Kings Of Convenience。「依存することの宣言」というタイトルが冠された今回のアルバム。メランコリックさが更にましている気がする。静かにひっそりと囁かれるように唄われる歌。静かな秋の雨が降っている今日のような日には本当にぴったり。少し早い冬の予感さえも漂ってくる。また大切な1枚になりそうだ。

There's a little bit of me inside you
Gathering what you've lost
I'm watching you now
I see you building the castle with one hand
While tearing down another with the other
(Kings Of Convenience「me in you」)

そして、Prefab Sprout。
それにしても『Let's Change The World With Music(音楽で世界を変えよう)』。なんて閑散としたCD売り場に場違いなタイトルのアルバム。(タイトルで買わない人もきっと居るんじゃないかな。)
彼らの『Steve McQueen』(1985)、『From Langley Park To Memphis(1988)、『Jordan: The Comeback』(1990)といったアルバムは、10代からずっと愛聴してきたアルバムばかりで、特に『Jordan: The Comeback』は、20代の時にもっともリピートしたアルバムだと思う。
そして、今回のアルバム。驚くほど何も変わっていない。オールドファッションであるという意味なくて、『Jordan: The Comeback』に鏤められた音楽の魔法(ミラクル)がまだ続いているということ。決して、過剰でもなく、戦略的でも、煽動的でもなく。ただ静かに音楽そのものが煌めいているという印象。それは凄いことじゃないかなと思う。本当に。

「仮に君が世界一のポップスターだとする。誰もが君の音楽や存在に魅了されている。誰もが君に憧れている。でも君はそんな沢山のファンよりも、隣の家に住んでいる一人のごく普通の女の子のことがずっと気になっている。彼女と親しくなりたいし、もっと近づきたいと思っている。でも彼女だけは君の音楽があまり気に入らないらしい。君は一生懸命に彼女のための音楽を書き続ける。でもいっこうに彼女は君の歌を聞いてくれない。届かない。それでも君はその一人のためにいつまでも歌を書き続けることが出来るだろうか。」

随分前に、そんな内容の歌詞の音楽を聴いたことがある。多分、10代。
どこかで聴いたよくある話といえば、まあよくある話。その楽曲そのものよりも僕はこの歌詞の内容のことをよく覚えていて、誰かとの会話でよく訊ねることがある。「それでこのポップスターはどうなると思う?」 ポップスターの行く末について訊ねると、実に人によって様々な答えが返って来る。そしてその答えにその人の個性というのがよく現れるので面白い。
この『Let's Change The World With Music』を聴きながら、僕はふとその話を思い出した。クレイグ・マクリーンこそ、まさにこの歌の主人公のような存在だなと思った。
(ちなみに、「唄い続けるよね、やっぱり」というのはかなり親しい友人達に共通した答え。「自分の歌を聴かない人のことなんてほっておいて、とっとと別の歌を聴いてくれる人のもとに走る」というゼロイチな生き方を答えた人もいて驚いたけど、そういう生き方もあるのだろうなとは思いつつ、やっぱりあまり共感は出来なかった。)

クレイグ・マクリーンは、ずっとアトピー性皮膚炎や、視覚障害、聴覚障害を煩ってきたそうだ。現代のコール・ポーターと呼ばれた男が、レコーディングも歌もまともに唄えない状況になっているというのは、本当に想像を絶するものがあると思う。
「逃げ出せるものなら逃げ出したい。でも僕は曲を作る。だってそれが僕の仕事なんだから。」インディペンデント誌のインタビューではそんな風にも答えていた。
別に何かに固執して頑に生きて行くことがいいという風に思っているわけじゃないし、手っ取り早く楽しく生きている生き方を否定するわけでもない。求道者のように生きていくことがカッコいいという風にも決めつけてもいない。だけど、不思議なんだけれど、やっぱりクレイグ・マクリーンのような人の奏でる音楽には「魔法」が宿ってしまう。そして、そうした見えないものが、僕らの心を動かしていく。『Let's Change The World With Music(音楽で世界を変えよう)』も別にそのタイトルや歌詞の内容ではなくて、その世界を無意識に鳴らしてしまっているところが凄いなあと思うのだ。目に見える世界に慣された人たちには、彼は変人にしか映らないのだと思うし、インスタントな快楽を志向して、ゼロイチで生きている人たちをどうこういうつもりはないけれど、やっぱり単純にクレイグ・マクリーンの奏でる音の方が心が喜ぶ、それが事実だということだけ。

市場主義にさらされ、コンテンツという味気ない言葉で取引されるようになった、この吹きさらしの荒れ地のようなCD売り場で、Prefab Sproutのアルバムが場違いに見えるのはそのためなのだろう。



2009.10.23 (Fri)  ウェブサイト、更新。

11月下旬に写真集が出ます。詳しい告知はまた改めてしますが、これを機にウェブサイトもちょっと直さなくてはと思い、取り急ぎ【photography】のセレクションを時系列に沿って整理しなおしまた。
(DearJB、Thanks for your great support !! )
写真のいいところは、いつでも始まり、いつでも休み、いつでもまた始められること。いつでも「終わりが始り」になること。
例えば、『Insian Summer』という処女作シリーズは、一度2000年に展示をした後、別のテーマの写真を撮ることが多くなりお休みしていたんだけど、逗子に引っ越してきたことを機会に再び再開して、それがやがて『Neighborhood』というシリーズに繋がり、新しく展開していくことになりました。
そうしたら、今年の夏に韓国のキュレーターからいきなり「あなたの『Indian Summer』を展示したいんだけど」と連絡があり、それを気に、「そういえばあの時のモノクロームは良かったよなあ」と、最近では実は再び35mmモノクローム×ライカM6に戻って、再び海を撮りはじめていたりします。韓国からの一通のメールがきっかけ。またこれが楽しくて仕方ない。また、インディアンサマーな季節がやってきたわけです。(こういう偶然性とかに身を任せているのは意外といいことなんじゃないかなと思う。)
写真家によっては、テーマやプロジェクトを次々と沢山立ち上げては、次々と展開して素早くカタチにしていく人も多いけど、僕はそんな風に、始めたり、止まったり、展開したり、混じったりしながら、いろいろ動きながらどこに最終的に落ち着くか自分でも分からないまま続けていく感じです。単に「潔くない」性格ってことなんだけど。



2009.10.17 (Sat)  制作進行中

昨夜、写真集におさめる2つのエッセイの翻訳がSさんから届いた。写真集『極東ホテル』のために作家の池澤夏樹さんが書き下ろして下さったエッセイ、そして僕自身が書いた文章。これでようやく写真集に必要な全ての素材が揃った。先日池澤さんから届いたエッセイを拝見したとき、そこに池澤さんご自身が作家や評論家のスタンスではなく、一人の旅人の目線で言葉を紡いで下さっていることを感じて胸が熱くなった。何度も何度もその文章を読み返した。池澤さんは「こういう文章だと、もしかすると写真の見方を限定しまうかもしれないね」とメールに書かれていたけれど、この写真が世界中の人々の元へ飛び立つには、むしろその等身大の言葉の方が強い支えになると思う。作品として以上に、行為としての写真なのだから。改めて心よりの感謝を申し上げます。ありがとうございます。また、翻訳家のSさんもご多忙の中大変なサポートを頂きました。ありがとうございます。来週早々には装丁デザインを手掛けてくださる北川一成さんとのミーティングも本格的に進んで行きます。大切な人たちと一緒にいい写真集が出来るように。



2009.10.04 (Sun)  travelogue #25 ~ Linz(2)


(Hauptplatz, Linz 2009.09.06.)



2009.10.02 (Fri)  travelogue #24 ~ London(2)

先日訪れたウィーンのミュージアム・クオーターで、『The Portrait. Photography as a Stage』という写真展を観る機会を得た。そのタイトル通り、様々な写真家が撮影したポートレートのコレクション。このセレクトが素晴らしかった。というか、個人的な琴線にビンビン触れるものだった。
ざっと挙げると、Anton Corbijn, JH Engström, Nan Goldin, Peter Hujar,Robert Mapplethorpe, Thomas Ruff, Jürgen Teller, Wolfgang Tillmans。他にも多数の写真家達が参加している。それにしてもこのラインナップはなかなか観れないし、少なくとも日本では実現しないと思う。個人的には、やはりAnton Corbijn。JH Engströmは前から一度観てみたかった写真家だったので幸運だった。あと、Peter Hujarのオリジナルプリントも。
ロンドンでは、Ryan Mcginleyの新作『Moonmilk』のオープニングにも遭遇した。写真そのものは素晴らしいと素直に思ったけれど、会場に押し寄せた若者たちがみんな同じファッションだったのには笑った。きっとロンドンのアートスクールにでも留学中だろう日本人までも同じだったので更に大笑いした。
そういうと、彼女は「そうなの、ロンドンなんてそんな連中ばかりで退屈よ。」と言った。


(Alison Jacques Gallery, London 2009.09.10.)



2009.10.01 (Thu)  Fanfarlo

Fanfarlo。久しぶりに出会ったなかなかいいバンド。
新作アルバムを早速iTunesで購入。
でも、このSmashingPumpkinsのカバーも秀逸。
いつもすぐ隣で鳴っているのに、どこまでも遠くへと誘ってくれる。
それがいい音楽。


(Fanfarlo cover Smashing Pumpkins "We Only Come Out At Night")



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