2002.04.29 (Mon)  沖縄への旅2

沖縄・竹富島には4日間滞在しただけなのに、何故か今この東京に戻って来て以来、あの場所がまるでもうひとつの故郷のように思える。
なだらかに珊瑚が隆起し出来た島。踏みしめられ細かく砕けた珊瑚で出来た白い道。夜は月明かりにそんな白い道が浮かび上がる。夕暮れになると、この島に住む人々や訪れた旅行客はゆっくりと白い道を歩み、西桟橋に申し合わせたように集まってくる。そうして集まってきた人々は、顔見知りになった人達と眼で挨拶を交わしたりしながら、この島でも最高のエンターテイメントである西表の西方に沈んでいく夕陽をゆっくりと眺めている。
僕と友有子も同じ民宿に泊まっている束の間の仲間達と、そんな風に夕陽を眺めながらこの場所での至福の時間を静かに過ごすのだ。こんなに何もないことが心地よく、何もないことにこそあらゆるエッセンシャルなものが満ちていることに気付く幸福。今回の旅では4つの島を巡ったが、どの島で見た夕陽も、その島ならではの光と色と強さを放ち、どれひとつ同じものなど無かった。この表情の豊かさ。夕陽と僕等を遮るものが無ければ無いほど、それは僕たちに無防備なほど豊かな表情を晒してくれる。僕等はそれに感謝し、そして包まれるかのように身を任せ、静かに今日の一日とやがて来る明日へと思いを馳せる。
  そのように過した僅かな時間は、その僅かな時間そのものだけでなく、そこに経ち現われる過去の記憶や肌触りまでを再び記憶の中から蘇らせ、濃い密度と色彩を伴って包み込むように現われる情景の中へと混じり、新しく生々しい記憶に変わり、僕の中に定着していった。 
  珊瑚の死骸が白く浮かび上がる島は、それ自体がもしかしてそんな誰もの記憶の中にある故郷のような場所なのかもしれない。



2002.04.26 (Fri)  沖縄への旅1

沖縄本島、竹富島、石垣島、与那国島を回る旅から帰京。
2週間と短期間ではあったけれど、濃い体験を味わった。それは、これらの島を巡りながら感じたこと、見たものが実は同じ日本という国に属しているという点で、かえってこうした印象を強くしている。 初めての異国で異なる言葉・文化・風習を見てももちろんそれらは全て新鮮に見える。 しかし一応は同じ日本という国に在りながらも、ここまでも人、空気、光、時間の流れを異にしている場所があるとは。そしてそこは、僕を打ちのめし、感化し、歓喜させ、突き落とし、震えさせ、和ませ、蘇生させてくれる新鮮でもあり、懐かしい万象に満ち溢れたところでもあった。
沖縄本島、そして八重山の島々を巡りながら感じたことは、少しずつしたためて見ようと思う。あの目の前を真っ白にしてしまう陽の光にやられてまだ意識が冷静に戻っていないし。数百のフィルムには何が写っているのか、いないのか。今は現像が上がるのを待っている。



2002.04.12 (Fri)  

白い蝶
混血
血の薄さ
おばあ
力なく虚ろな男
突然の墓
泡盛の刺激
スピード
外には出て行かない
土産物売りの青年達
同じ顔

与那国。
神が近くに居る
日本と大陸
太い眉の男と細い眼の女
血の濃さ
悲しい歴史
それは我々が作ったもの
風土で生命は変わる



2002.04.12 (Fri)  

「太陽は味方やで!」 と彼女が叫んだ。



2002.04.05 (Fri)  仕事2

クリエイティブ・ディレクションを担当した某アーティストのCDジャケットとプロモーションビデオがようやく完成。この曲はFIFAワールドカップ2002の公式テーマアルバム(日韓盤ではなく、ワールドリリース版の方)に日本人アーティストとして唯一収録されている曲で、出来れば沢山の人がこの曲やPVを見てくれたらと思っています。
この仕事と並行して、今あるFMラジオステーションの立ち上げにも関わっていて、今そのローンチング用のコンセプトを必死で作っているところです。どういうカタチで実現するか今はまだ見えないけど、僕たちのこれからの世代にとっての糧を得られる場所にしていきたいと思っています。それが実現できないようだと、とっととこの仕事は辞めてしまってもいいでしょう。情報資本社会がここまで進んで、結局のところ僕等がどこまでHAPPYになってかというとそれは大きな疑問だと思うし、大人たちの身勝手な思惑でこんなに社会を汚されたり都合主義に巻き込まれたりするのもウンザリです。
メディアの時代、コミュニケーションの時代といわれていても、結局おばあさんと子供が共通の話もできない時代であって「大きな物語」が失われてしまっているわけです。どんどん大切な言葉や風景にまでマーケティングが入り込み、希薄な空気だけが充満してしまっているわけで、渋谷のスクランブル交差点に立って、ふと見上げると広告塔のために(まあそれが本当にクリエイティブで新しい発見があればまだ救いは在るのだけど)、どんどん空が狭くなって夕焼けも見えなくなってしまっている。そんな汚れた空気を吸いながらも、一見自由を獲得したつもりの人たちが「個性」というものを満喫している錯覚の中で生きている、いつも渋谷の町に立つとそういう感覚を覚えてしまう。勿論皆危機感と防衛本能はあるはずなので、きっと自分なりに上手くやろうと思っているのだとは思うけど、このマーケティングされた言葉や風景は純粋な人には洗脳力が強すぎるので、きっと溺れてしまっている人も出ているのではないか、そうも思えます。
新しいメディアの立ち上げはここへの何らかの解答を持たないと成立しないと思っています。都合主義のサラリーマン(それは政治家でもそうでしょう)の感性では理解し得ないものになるかもしれないけど、「解答」を示せば間違いなく何らかの成果は手にすることが出来ると思っています。出来る限りを尽くしたいと思っています。
一気に書いて文章が無茶苦茶ですが、まあ今夜はそんな気分なので。



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